熊本災害ボランティア活動より
6月24日から27日に熊本県阿蘇郡西原村、上益城郡益城町等で、災害支援ボランティアに参加したレポートです。
村会議員宮田かつのりさんのお父さんのお宅に泊めてもらった。おとうさんの手料理、家庭料理をいただきながら、宮田さんから西原村の現状とこれからのこと近所のことを聞かせてもらった。日頃の避難訓練が役に立ったという。住民の名前や生年月日、職業を記したリストがあり、地域内の共助において、看護、保育、大工などの職業を生かすことができた。
全国的に進んでいる少子高齢化、農業後継者問題については、西原村も例外ではない。熊本へ車や電車で通っている。この辺は阿蘇の火山灰の混ざった土質で、サツマイモの栽培があちこちにみられる。地域農業活性のために紫イモと現地産のコメを使った芋焼酎を作っている。商工会へは、農業従事者もサラリーマンも会員に入ってもらっているという。今や農業従事者は、作る人だけでなく売る人になってビジネス展開していくことが必要である。どの職業であれ、地域で戦略的に取り組む人なら商工会への加入を進めている。
一方、益城町は熊本市に近くベッドタウンである。新しい団地ができ新旧の人々が入り混じっている。地域内の自治能力は弱いと聞いた。益城町に入りその部分を垣間見た。周囲の家が軒並みに倒壊した島田地区では、138軒中10軒のみが居住可で、テント生活している人や一部壊れた小屋に寝泊まりしている人々がいた。被害の規模が大きくて、区行政、民生委員も機能的に動いていない様子だった。このため情報は回って来ず、自分たちで取りに行かないといけない。また、区や組で集まって何かしようとする動きもない。ただ行政の動きを待っているだけだ。
都市部やその周辺部では、インフラが充実し、施設が整い、行政依存度が高い。田舎では、インフラや行政サービスが弱い分、自治力は強い。
寺田虎彦は「天災と国防」で、文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すと言っている。例えば、水道というシステムが破壊されると、その利用者は無能となる。原発が破壊されれば、人的被害は計り知れない。人の関係も同じだ。行政に全部依存している地域は、行政が機能しなくなると、自ら何もできない。原始時代の人々より哀れなものになる。
益城町で家の片付けをしている時に、国の仕事をされている人に「ボランティア活動をされていて、国に何を望まれますか」と声を掛けられ、返答に困ったが、「災害時には国がもっと財と人を一気に投入してスピードをもって復興支援をしてください。そのための増税は厭いません」とお願いした。
いつ瓦礫を撤去し元の生活に戻れるか目途が立っていない状態で、避難所、テント、一部車上暮らしが続いている。余震のトラウマで避難所に行っても熟睡できない人が沢山いる。先行き不安な中、孤立した状態にいる人も多い。地域の自治力、人と人の繋がりが問われている。(甲賀市防災士 中島)